a_ne_haの日記

読んだ本の感想を書いています。

ボクたちはみんな大人になれなかった

燃え殻さんの『ボクたちはみんな大人になれなかった』を読みました。


過去の出来事を思い出し、自らの経歴を振り返る主人公の物語でした。


劣悪な環境下で働いていた過去、共に苦難を乗り越えた友人、いつも心の支えになっていた恋人。時代に飜弄されながら生き抜いてきた日々。


一番の頼りは恋人でした。はじめて自分より好きになれた人。その人の全てが正義に思えました。この人がいなかったら現実から逃げていたのではないでしょうか。


愛する人に愛されることはとても幸せなことだと思います。


私自身はまだ自分より好きな人に巡り合ったことがありません。人を心から愛することができないのです。


いつも一歩引いた目線から自分を客観的に見てしまうので無意識に信用のストッパーのようなものが作動してしまいます。ある程度仲が深まったらそれ以上の仲になることができないのです。


タチが悪いことにこれは性別関係なしに作動してしまいます。そのため友達と呼べるような人が少ないのです。


この物語の中で主人公はさまざまなことを乗り越えていくのですが、いつも彼には仲間がいました。それは友人であったり恋人であったりです。彼らのおかげで諸問題を解決できたし解決してあげられたのです。


今ではSNSの普及によって顔を合わせなくてもコミュニケーションが取れるようになりました。顔が見えない分コミュニケーションの質は低下したものの、手軽さであったり広報性だったりは向上しました。昔に比べるとはるかに簡単に自分の仲間をつくることができます。


昔には昔の、今は今のやりかたがあります。わたしは昔の人間ではないのでこの物語にあったような出来事にあまり共感できなかったものの、助けてくれる仲間、助けてあげたい仲間というのはどんな時代になろうと大切なものです。かけがえのないものです。